1人採用あたり、1億5,000万円の投資

池本克之です。


採用した人が
短期間で辞めていく。


これは、多くの企業で起こっている
深刻な問題だ。


しかも、短期間で辞めていく
企業に共通するのは、

このようなことが
一度や二度ではなく、
昔から繰り返されている
ということだ。


誰かが入ってきたと思えば合わなくて、
うまく成果を出せなくて辞めていく。

というケースが非常に多い。


だが、採用は

「いやぁ、また失敗したよ。
とんだ見込み違いだった」

と頭をかいて終わりにできない。


なぜなら、人一人採用するにも
お金がかかっているからだ。



仮に、あなたの会社が
30歳の人を採用したとする。


会社の規定で
定年退職は60歳だとすると、
30年間の雇用関係を
続けなければならない。


計算しやすくするために、
この方の報酬が
平均で年間500万円だったとする。


これを30年間、
毎年500万円ずつ支払うと、
1億5,000万円になる。


つまり、これは
1億5,000万円の分割払いなのだ。

投資しているのである。


採用は、コストではなく投資だ。


ということは、
1億5,000万円分以上の利益を
分割で得ないと、
投資効果はマイナスということになる。


だからこそ、
採用は間違えられない。


人を採用するというのは
それぐらいの意味があるということを
強く認識していただきたい。



自社に合わない人を採用してしまうと、
パフォーマンスが上がらないうえに

仕事の進め方が上司と大きく違うので
手取り足取り教えなければならない
場面も増える。


上司の時間まで浪費されてしまう。


つまり、
自社に合わない人を採用すると、

その人に投資した分のお金すら
回収できず、
利益が目減りするだけなのだ。



反対に、自社に合う人を採用すれば、


いちいち指示を出さなくても
社長のイメージ通りに
動いてくれるようになる。


部下に指導する時間が大幅に減り、
その分、成長戦略を考えたり、
新しい人を採用したり、


経営者としての仕事に
集中できるようになる。


ほとんどストレスもかからないし、
売上も右肩上がりに伸び始める。



では、どうすれば
人材採用で間違いを犯さずに済むのか?


それは、面接の時点で

スキルの部分ではなく、
モラルの部分を見る。


ということだ。


私がいつも面接で重要視しているのは、
「モラル」の部分だ。



人間には、大きくわけて
2つの要素がある。


その2つこそが
「モラル」と「スキル」。


スキルの方は
説明するまでもないだろう。


一言でいえば、
仕事をする上で必要な
様々な能力を意味する。


一方、モラルとは、
自身の生き方や
考え方の大本になっている
価値観のことだ。


どう行動するかを決める
「判断基準」と言ってもいいだろう。


このモラルには
スキルのように「高い・低い」はない。


企業・チームによって、
また個人によって
「合う・合わない」があるだけだ。


あなたは、人材採用を行う際、
スキルとモラルのどちらを重視して
採用を決定しているだろうか?


一番メンバーに入れたいのは、
もちろん
「スキルが高く、モラルが合っている」
人材。


逆に、その対極にある
「スキルが低く、
モラルが合っていない」
人は論外である。


このような人は
チームに入れてはいけない。


では、

「スキルは高いが、
モラルが噛み合っていない人」

と、

「スキルは低いが、
モラルの一致度が高い人」

あなたなら、
どちらを選ぶだろうか?



世間一般のリーダーたちは、
往々にして前者を選ぶ。


おそらく頭の中で、

「スキルが高い人は
いい成績を上げる。
売上に大きく貢献してくれるだろう。

いくらモラルを共有できていても、
スキルが低ければ数字に直結しない」

と考えるからだろう。


しかし、実際は逆だ。


なぜなら、
「スキルは伸びるけれど、
モラルは変わらない」からだ。


スキルは経験を積んだり、
知識をつけることで
少しずつ鍛えていくことができる。


一方、モラルは
その人がもともと持っている
価値観なので、
なかなか変えることができない。


したがって、
モラルが似通っている人の方が
「成長の伸びしろ」があると言える。



さて、あなたは
人材採用をする際、

候補者のスキルとモラル、
どちらの方を重要視して
決めていただろうか?


採用は投資である。


ぜひ、この認識を強く持って、
人材採用に臨んでいただきたい。




社長の最優先事項

池本克之です。


最近になって、
「若者の二極化」が
急速に進行している。


私の会社では、大学生を対象に
4年前からインターンシップを
行っているのだが、


採用面接の段階で
若者のあまりの違いに
驚くことがある。


一方は、
自分の将来の目標をしっかり
持っていて、
そのために今、何をすべきかも
考えた上で計画を立て、
行動に移す若者。


これは、割合では1割ぐらいだ。


残りの9割は、
将来像をまったく持っていなくて、
「大企業に入りたい」としか
考えていない
「超安定志向」の若者。


今は、こちらのタイプが
圧倒的に多い。


前者のような人材は、
私が指示をしなくても
自分から行動する。


そんな彼のような超優秀な人材は、
どこの企業でも
喉から手が出るほど欲しいので、
就職先もあっという間に決まる。


しかし、そんな人材は
10人に1人いればいいほう。


私たちは、これから
9割の超安定志向の若者に対する
動かし方・仕事の任せ方を
考えていかなくてはならない。


特に今の若者の特徴で顕著なのは、
とても臆病だということ。


周りの顔色をうかがいすぎて
どう行動したらいいのか
分からなくなるぐらいである。


また、仕事や会社に対して
常に何かしらの不安を抱えている。


そんな臆病で周りの顔色をうかがう
いまどき部下に対して、
「お前を信じて任せるから
やりたいようにやれ!」
と背中を押しても、
パニックを起こす。


また、「期待しているよ」
という励ましの一言が
過度にプレッシャーをかけてしまい、
地雷ワードになる可能性だってある。


いまどき部下には、
もう今までのマネジメントでは
通用しない。


かといって、
そのまま放置していれば
勝手に育つわけでもなく、
自分の居場所を見つけられずに
つぶれていってしまうだろう。


では、どうすれば
いまどき部下が仕事に対して
前向きに取り組み、
自分のパフォーマンスをフルに発揮して
活躍してくれるようになるのだろうか?


私は、
何よりもまず、その社員としっかりと
コミュニケーションを取ることが
大切だと考えている。


なぜなら、しっかりと時間をかけて話すことで
初めていまどき部下の考えていることが
よく理解できるからだ。


今、何に困っていて、
何に不安を持っているのか?


どんなことをしたいと考えていて、
どんなことを望んでいるのか?


これらを直接いまどき部下と
話すことで、
よく理解できるようになる。


社長の中には、
社員1人1人と話す時間が取れないと
考える人もいるが、


私は、このコミュニケーションこそ最重要事項として捉え、
自分の時間をどうにかしてでも
確保すべきだと考えている。


私の場合は、
毎月面談の時間をスケジュールに入れ、
前もって確保している。


それぐらいしないと、
社員の考えていることは
理解できないし、
こちらの考えも伝わらない。


あなたは
社員としっかりと信頼関係が
築けているだろうか?


普段からコミュニケーションを
取っているから大丈夫、
と思っていても、


多くの企業では
社長と部下の認識が
大きくズレていることがよくある。


ぜひ、いまどき部下が
自分のパフォーマンスをフルに発揮して
結果を出していくためにも、


一度しっかりといまどき部下と
向き合って、コミュニケーションを取ってほしい。