池本克之です。
2025年、日本の労働市場は
かつてない局面を迎えている。
総人口の3割が65歳以上となり、
いわゆる「団塊ジュニア世代」が
60歳代に突入した。
人材不足は依然として深刻で、
有効求人倍率は1.2倍を超え、
若手だけで組織を回すのは
現実的ではない。
だからこそ、
シニア人材をどう活かすかが、
これからの経営において
大きなテーマとなる。
シニア人材を
「高コストで成果が出にくい存在」と
見る会社は少なくない。
しかし私は逆に考える。
シニアを活かせる会社こそ、
2025年以降に成長する会社である。
理由は二つある。
ひとつは経験と知見の豊富さである。
もうひとつは、人材流動性が高まる中で
「定着性の高い労働力」として
期待できる点である。
問題は、どうすれば
その力を最大化できるかである。
私は具体的に、
次の三つの方法を提案したい。
① メンター役として若手と組ませる
シニアは若手に比べて、
スピードやITスキルでは劣るかもしれない。
しかし、判断の勘所や
人間関係の築き方に長けている。
若手とペアを組ませ
「実務は若手、
顧客対応や判断はシニア」という
役割分担を行えば、双方の強みが活きる。
若手は安心して挑戦でき、
シニアは自分の存在価値を実感できる。
② プロジェクト単位での活用
常勤でフルに働かせる発想から
抜け出すべきである。
シニアは短期的・限定的な役割に強みを発揮する。
例えば新規拠点の立ち上げ、
営業ノウハウのマニュアル化、
品質改善の現場指導といった
プロジェクト型業務に投入すれば、
高い成果を出す。
③ 柔軟な働き方の設計
シニアの働き方は一律ではない。
フルタイムで働きたい人もいれば、
週3日を希望する人もいる。
リモートワークを駆使して
「週数日の在宅+必要時の出社」とすれば、
無理なく力を発揮できる。
柔軟な制度を用意することで、
優秀な人材を逃さずに済む。
こうした工夫をしないまま、
年功序列や一律の再雇用条件で
シニアを扱えば、コストに見合わない存在に
見えてしまう。
しかし役割設計を変えれば、
シニアは会社にとって不可欠な戦力となる。
2025年は「人材難の時代」であると同時に
「多様な人材活用の時代」でもある。
シニアを活かすとは、
単に労働力を補うのではない。
経験と知恵を資産として
組織に還元することで、
若手を育て、会社を強くすることである。
シニアをどう扱うかは、
社長の人材戦略の成熟度を映し出す鏡である。
年齢に線を引くのではなく、
強みを見極めて役割を設計する。
これができる会社こそが、
これからの人材不足時代に勝ち残るのである。
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