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2025年2025/07/09

退職者が止まらない部署に潜むもの

池本克之です。

「どうしてあの部署だけ、
退職が続いているのだろうか?」

このような悩みを抱えている経営者は
決して少なくない。

一見、表向きは
何も問題がないように見える部署で、
上司と部下の関係も、業務の進行も、
人事の資料上も「正常」に見える。

だがなぜか定着率が異常に悪く、
特に若手や女性社員が短期間で
離職していく。

私が数多くの企業をコンサルしてきた中で
このような部署には「共通点」が
あると思っている。

それは「静かな支配者」がいるということ。

影響力をもったひとりの
女性・男性社員の存在である。
マウントは言葉より「空気」で行われるものだ。
その社員は、表向きは丁寧で仕事もできる。
むしろ、評価シートの上では“模範的”とすら見える。

しかしその「静かな支配者なる社員」が放つ
言葉、態度、視線、
そして立ち居振る舞いには、
周囲の社員たちに対する
「優位性の誇示」が滲んでいる。

直接的な言葉で責めることはない。
だが、些細なミスを冷笑し、
持ち物や外見の話で上下関係をつくり、
業務の中で
「それ、私のときはもっと早く終わらせてたけど」
といった何気ないひと言でマウントを取るのだ。

このような態度は、周囲にとっては圧力となり、
本人は気づかぬうちに
「静かな支配者」になっている。

社員から「辞めたい」と話が出た時に
社長が直接聞く場合、もしくは
上司からの報告で知る場合が多いだろう。

そこから社長はその周辺で起きていることを
上司に確認をすることになる。
そのうえで社長は該当社員と面談をすることになるが、
多くの社長はすでに「辞めると決断している社員」と
対面することになる。

「何か不満があったか?」
「人間関係に問題があったか?」

だが、辞める側の多くは本音を語らない。
「ステップアップしたくて・・」
「ちょっと方向性が違った」
「家族の介護が必要で、自分の体調が不調で」
と当たり障りのないことを
言って去っていく。

このとき社長は「その本人の問題だった」として
処理しがちである。
だが、もし同じ部署で数名が連続して
辞めているならば、それは「構造の問題」である。

その部署の中に、
“絶対的な序列”を生み出している人物がいないか。
同調圧力によって、
自由な発言や動きが封じられていないか。
そこにこそ社長が見るべき
「本当の原因」が潜んでいる。

こういった問題に直面したとき、
真っ先に責められるのはその部署の上司である。

「なぜ気づかなかったのか」
「なぜ放置したのか」

だが、上司もまた“空気に飲まれている”可能性がある。
影響力を持つ社員に遠慮し、
表面的な調和を優先してしまっている場合も多い。

以前に著書の中で
『社長は少しだけ会社をサボりなさい』で書いたが

”人間関係のトラブルは「構造」で解決せよ。
個人を責めるな。”

必要なのは、個人攻撃ではなく、
空気と関係性を変える戦略的介入である。

社長がとるべき具体策としては、2点ある。

1,「縦」ではなく「横」の聞き取りをすること。
直属の上司や部下に聞くだけでは、真実は見えてこない。
他部署でその社員と関わったことのある女性社員、
あるいは元退職者といった“斜めの関係”から意見を聞くことで、
空気の正体が見えてくる。

2,小さな異動やプロジェクト分解で空気を変える
人事異動や新プロジェクトへの組み込みにより、
力関係や視線の分散を起こすことで、
圧力構造を崩すことができる。
“別の場所でリーダーシップを発揮してもらう”
という形をとることで、
正面衝突を避けつつ環境を整える。

あなたの会社でも、
もし退職者が集中している部署があるならば
そこには「無意識に人を支配する人」がいる
可能性を疑うべきである。

社員を責めるのではなく、
構造を変える。

その冷静で戦略的な判断こそ
社長に求められるリーダーシップである。

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