池本克之です。
先日、日本代表サッカーの森安監督が
「上司に意見はウェルカムだ」
という趣旨の発言をしている記事を読んだ。
この言葉に、私は強くうなずいた。
これはサッカーに限った話ではない。
むしろ、企業経営や
組織運営そのものの本質を突いている。
結論から言えば、
意見が言いやすいチームは、例外なく強い。
そして逆に、
沈黙が支配する組織は、例外なく弱っていく。
心理的安全性という言葉が流行しているが、
本質はもっとシンプルだ。
「言ったことで損をしない」
この確信があるかどうかである。
森安ジャパンは、
監督がすべてを決めるチームではない。
選手からの提案、
現場での気づき、
戦術面の意見を積極的に受け取る構造を
つくっている。
だからこそ、
短期間で成熟度の高いチームを作れる。
一方、企業の現場ではどうだろうか。
会議で意見を言えば、
「否定された」
「生意気だと思われた」
「評価が下がった」
そんな経験をした社員は少なくない。
その瞬間、社員は学習する。
「黙っていた方が安全だ」
この学習が積み重なると、
現場からは何も上がってこなくなる。
私は著書でも繰り返し書いているが、
問題が報告されない
組織ほど危険なものはない。
それは問題がないのではない。
問題を言わなくなっただけである。
ある中堅企業では、
業績が急落し、
離職も増え始めた際、経営者はこう言っていた。
「社員は何も言ってこない。
やる気がないのではないか」
実際に現場を見てみると、真逆だった。
社員は気づいていた。
非効率な業務
意味のない会議
古い評価制度
だが、過去に何度も意見を言い、
そのたびに否定され、潰されてきた。
結果、全員が「考えない」ことを選んだのだ。
これは怠慢ではない。
合理的な自己防衛行動である。
強いチームは、意見が多い。
未熟なチームは、文句が多い。
弱いチームは、沈黙が多い。
この違いを理解している経営者は
意外と少ない。
意見=批判
反論=反抗
と無意識に結びつけてしまうからだ。
森安監督の発言が示しているのは、
「意見を言える空気は、監督がつくる」
という覚悟である。
心理的安全性は、制度ではなく、
上に立つ人間の姿勢で決まる。
・意見を言った人をどう扱うか
・その場で否定しないか
・採用されなくても感謝を示すか
・発言者を守るか
この積み重ねが、空気になる。
企業経営もまったく同じだ。
意見が出ないのは、社員の問題ではない。
出なくなる対応をしてきた
経営側の問題である。
心理的安全性を軽視する会社に、
イノベーションは起きない。
現場力も育たない。
そして最後は、トップだけが忙しくなる。
強い組織をつくりたいなら、
まず経営者自身が問いを変えるべきだ。
「なぜ意見が出ないのか」ではない。
「なぜ意見を言うと危険だと思われているのか」
森安ジャパンが示しているのは、
勝つための戦術以前に、
人が本気で関われる土台づくりである。
これはスポーツの話ではなく、
経営の話だ。
そして、
今この瞬間からでも
変えられる話でもある。
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