池本克之です。
最近、現場のマネジャーや経営者から、
こんな声をよく聞く。
「部下が細かすぎて、
チームが前に進まない」
「その人しかわからないやり方で
仕事をしていて、周りが困っている」
これは、細部にこだわりすぎて
全体が見えなくなる社員、
あるいは自分の基準だけで判断し、
チームを属人化させてしまう社員が
増えているという現象である。
もちろん、細かさ自体は悪いことではない。
品質を担保し、
ミスを防ぐ重要な視点でもある。
問題は、それが全体の成果を
阻害するレベルにまで
肥大化している場合である。
細部へのこだわりが強い社員は、
任された仕事を完璧に
仕上げようとする
責任感が強いタイプが多い。
だが、そのこだわりが
「他人に任せられない」
「自分のやり方以外は認めない」と
なってしまうと、
属人的な運用が常態化し、
組織全体の再現性が失われる。
今の時代、ビジネスは
「共通言語」「共通手順」「共通目的」の
三拍子がなければ成り立たない。
個人のこだわりを肯定しつつも、
標準化・見える化・共有化の仕組みを
導入することが急務である。
では、どうすればよいのか。
まず最初にやるべきことは
細かすぎる社員の視点を
「プロセス」から「成果」に移させることである。
「その確認は何のためにやっているのか?」
「どんな結果に結びついているのか?」
「それは他の人にも再現できるか?」
このように問いを投げかけることで、
「自分だけが納得する方法」から、
「チーム全体に価値がある方法」へと
認識を変えていくことができる。
そして次に、
属人化を防ぐ仕組みとして、
「チェックリスト」
「ナレッジ共有」
「業務マニュアル」などを整備する。
ここで重要なのは、形式ではなく、
運用に耐えられるシンプルさである。
細かい人ほど複雑な資料を作りがちだが、
それでは誰も見ない。
大切なのは
「誰でも理解でき、すぐ使える」形に
落とし込むことだ。
さらに、育成段階では
「人に引き継げるように設計してもらう」ことを
前提にタスクを与える。
そうすることで、
細かさの方向性が“囲い込み”ではなく
“共有化”に変わる。
こだわりは価値になる。
ただし、それを組織の財産に変えるには、
仕組みに昇華させる意識とサポートが
不可欠である。
細かすぎる社員を責めるのではなく、
活かす方向に導く。
属人的な仕事を「共通化された資産」に変える。
それが、これからの強い組織の条件である。
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