池本克之です。
最近、いまだにこういう指導をしている
会社を見かける。
「見て覚えろ!」
「とにかくやってみろ!」
特に平均年齢が高い会社では、
「自分たちも昔そうやって教えられた」
と言う人が多い。
そして、自分も部下に同じように言ってしまう。
だが、これはもう時代に合わない。
「見て覚えろ」と言われても、
人間の解釈は一人ひとり違う。
何をどう見て、どこを覚えるのか──
それを本人に丸投げしてしまえば、
学びの質はバラバラになる。
「とにかくやってみろ」と言われても、
やり方も理由もわからなければできない。
目的が見えない仕事ほど、
人は「ただやらされている」と感じるものだ。
その結果、モチベーションは下がり、
やる気は失われていく。
「働く楽しさ」
「自分の成長」が
感じられなければ、
人は必ず離れていく。
「どうしてできないんだ!」
「ちゃんと見てろと言っただろう!」
そう叱られるたびに、
部下は自信を失い、心が離れていく。
やがて、「何のためにやっているんだろう」
と思い始める。
そして、ある日、静かに会社を去っていく。
せっかく採用しても人が育たず、
お金だけが出ていく──。
これほど無駄な経営はない。
結果、人手不足という悪循環が起こる。
これは、会社にとって“静かな危機”だ。
では、どうすればいいのか。
部下に望む行動を取ってほしいのなら、
「細かすぎる」と思うくらい
具体的に伝えることだ。
最初は手取り足取りでいい。
むしろ、最初こそ丁寧に。
やることの手順だけでなく、
「なぜそれをやるのか」まで説明する。
そうすると、部下は理解して動けるようになる。
今の若手は真面目だ。
最初の一歩さえ正しく教えれば、
2回目からは自分で考えて動けるようになる。
3回目には、もう説明はいらない。
そこまで来れば、上司もラクになる。
つまり、「最初の丁寧さ」が後の効率を生む。
“見て覚えろ”の時代は終わった。
今は、“伝えて育てる”時代だ。
人は皆、価値観も背景も違う。
だからこそ、言葉で伝え、
行動で見せ、
理解を揃えることが大事になる。
「見て覚えろ」でうまくいっていたのは、
終身雇用と時間が
保証されていた時代の話だ。
いまは違う。
人は育てなければ、すぐにいなくなる。
だからこそ、私はこう考える。
“細かすぎるくらいの指示”が、
結局は人を伸ばし、会社を強くする。
それが、これからの時代に生き残る会社の
唯一の教育方針だと思う。
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